新年恒例の「歌会始の儀」が16日、皇居・宮殿で催された。今年の題は「光」。天皇、皇后両陛下や皇族方、天皇陛下に招かれて歌を詠む召人(めしうど)、入選者10人らの歌が披露された。宮内庁によると、両陛下の出席は今回が最後。皇太子妃雅子さまは風邪の症状が続いているため欠席した。 陛下は皇居・御所の庭のヒマワリが成長していく様子を詠んだ。2005年に両陛下が阪神・淡路大震災10周年追悼式典で兵庫県を訪れた際、懇談した遺族代表の少女から、震災で犠牲になった当時小学6年生の加藤はるかさんの自宅跡地に咲いたヒマワリの種を贈られ、御所の庭にまいて毎年育てているという。 皇后さまは、夕方に御所のバラ園の花が寂光に照らされ、一輪一輪浮かび上がるように美しく咲いている様子を詠んだ。高齢となり時に心が弱くなる中、深い平安に包まれ、残された日々を大切に生きていこうと思った「静かな喜びのひととき」を詠んだという。 皇太子さまは高校1年生の頃に登った金峰山(山梨、長野両県)の山頂付近で、差してきた光に導かれるように歩みを進めた時の印象を詠んだ。雅子さまは、皇太子ご一家のお住まいである東京・元赤坂の東宮御所の庭にある白樺(しらかば)を歌にした。かつて昭和時代をこの地で過ごした両陛下が慈しみ、大切に育ててきた皇后さまのお印でもある白樺の木立。その白樺の木々が朝の光を受けて白く輝く様子を見ながら、二十数年間過ごしてこられたことへの感謝を詠んだという。 秋篠宮さまはかつてご家族で浅間山のそばの石尊山(せきそんさん)に登った際、陛下が山腹の洞穴の中を指さして教えてくれた光苔(ひかりごけ)に大層驚いたことを詠んだ。(召人、入選者らの歌は17日付朝刊に掲載します)(多田晃子、緒方雄大) 天皇、皇后両陛下や皇族方の歌は次の通り。 〈天皇陛下〉 贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に 〈皇后さま〉 今しばし生きなむと思ふ寂光に園(その)の薔薇(さうび)のみな美しく 〈皇太子さま〉 雲間よりさしたる光に導かれわれ登りゆく金峰(きんぷ)の峰に 〈皇太子妃雅子さま〉 大君と母宮の愛でし御園(みその)生(ふ)の白樺冴ゆる朝の光に 〈秋篠宮さま〉 山腹の洞穴(どうけつ)深く父宮が指したる先に光苔見つ 〈秋篠宮妃紀子さま〉 日の入(い)らむ水平線の輝きを緑閃光(グリーンフラツシユ)と知る父島の浜に 〈秋篠宮家長女眞子さま〉 日系の百十年の歴史へて笑顔光らせ若人(わかうど)語る 〈秋篠宮家次女佳子さま〉 訪れし冬のリーズの雲光り思ひ出さるるふるさとの空 来年の題は新天皇即位後に 宮内庁は、来年の歌会始の題と応募要領は、5月1日の新天皇即位以降、宮内庁から発表される。締め切りは9月30日(当日消印有効)。 |
両陛下、最後の歌会始 被災地からのヒマワリ詠む
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