香港立法会(議会)で23日、中国の国歌「義勇軍行進曲」に対する侮辱行為を禁止する国歌条例案の審議が始まった。若者らの愛国心を高めるため、最高で禁錮3年の罰則を設ける。民主派は「国歌の押しつけ」と反発しており、親中派との対立が激化している。
国歌の替え歌で禁錮3年 香港が中国国歌侮辱に罰則案
審議入りに合わせ、民主派と親中派のデモ隊が同日、それぞれ数十人規模で立法会に集結。「表現の自由の侵害だ」と訴える民主派と「国の象徴である国歌を尊重せよ」と主張する親中派がにらみ合い、小競り合いになる場面もあった。
民主派の政治団体「香港衆志」の黄之鋒秘書長は「重い刑罰を設けて、香港市民に中国への忠誠を誓わせる香港政府のやり方は非常に危険だ。国歌を尊重するもしないも個人の自由だ」と語った。
中国では2017年、国歌法が施行され、国歌の替え歌をうたう行為などが禁止された。香港は高度な自治が保障される「一国二制度」が実施されているため、香港政府は香港での国歌法の適用に必要な立法措置として国歌条例案を策定し、立法会に提出した。立法会は親中派が過半数を占めており、条例案は今夏までに成立する見通しだ。(香港=益満雄一郎)