キバナフジを再現したイルミネーションのトンネルの中に立つ長谷川広征さん=2018年12月17日、栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
「忘年会シーズンにあわせてレストランの窓辺をすこし明るくしよう」。北関東にある植物園が約20年前の冬、そんなねらいで園内を彩った電飾が、日本を代表するイルミネーションスポットへと成長した。その秘密は、花のプロたちのこだわり。「本物と同じく手間ひまかけて育ててきた」という仕掛け人を訪ねた。
植物園が最も華やぐのは、大小色とりどりの花が開く春だ。しかし、栃木県足利市のあしかがフラワーパークでは、例年10月下旬から2月上旬(今年は5日まで)も「光の花」が夜咲く。
名物となったイルミネーション「光の花の庭」の開催期間中は、年間来園者の約3分の1にあたる約60万人が訪れる。園を運営する足利フラワーリゾートのパーク管理部次長、長谷川広征さん(47)は約20年間、そのデザインや取り付け作業のリーダーを務めてきた。
「奇蹟の大藤」の中に立つ長谷川広征さん。手に持つバラのオブジェも、本物を何度も観察しながらデザインした=栃木県足利市、伊ケ崎忍撮影
なかでも人気なのは、園のシンボル、樹齢約150年の大藤2本を彩るイルミネーション「奇蹟(きせき)の大藤」だ。約1200畳分の藤棚で約30万球のLEDが演出する淡い紫の光に囲まれると、ライトアップされた本物の花の下にいるような感覚になる。
目をこらすと、植物園ならではのこだわりがわかる。一球一球に半透明の花のオブジェがついているのだ。
大藤のオブジェを採用したのは…