安倍晋三首相の施政方針演説に対する衆院の代表質問が30日、始まった。野党は厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査について根本匠厚労相の対応を批判し罷免(ひめん)を求めたが、首相は改めて拒否した。
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立憲民主党の枝野幸男代表は、根本氏について、昨年12月20日に統計不正問題を把握しながら、翌日の新年度予算案の閣議決定を認めたと批判。問題を検証する厚労省の特別監察委員会の聞き取りに同省幹部が同席していたことを挙げ、「いい加減な調査で幕引きをはかろうとした」と非難。首相に根本氏の罷免を要求した。
首相は「徹底した検証、再発防止の先頭に立ってもらう」と根本氏の罷免を拒否。根本氏は「(事務方から)一報を受けた時点では事案の具体的な内容や影響が明らかになっておらず、予算案との関係性を判断できなかった」と答弁した。
首相が問題の報告を受けた時期と指示の内容について枝野氏がただすと、首相は「(昨年)12月28日に厚労省から秘書官を通じて報告を受けた。しっかりと事案を精査するように指示した」と答えた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、統計不正の実質賃金の伸び率への影響を追及。昨年1月~11月の参考値の伸び率が「具体的に何%か。少なくともプラスなのか、マイナスなのか」と質問したが、首相は「参考値をベースとした実質賃金の算出が可能かどうかは担当省庁で検討している」と明言を避けた。
また、枝野氏は「不適切な統計数値のままでは適切な予算案や法案の審査ができない」と強調。不正統計問題が解明されなければ、今年度第2次補正予算案や新年度予算案の審議に応じられないとくぎを刺した。
しかし、衆院予算委員会は自民党の野田聖子委員長の職権で31日に同委理事懇談会を開くことを決めた。与党は同委を2月1日に開き、両予算案の提案理由説明を行う考えだ。