プロ野球は2月1日、12球団がそろって春季キャンプを迎える(日本ハムのみ現地時間)。3年連続の日本一を狙うソフトバンク、昨季セ・リーグを3連覇した広島など5球団が宮崎県で、6球団が沖縄県で、日本ハムは米アリゾナ州で始動。阪神、中日、オリックス、楽天は新監督のもと、チーム作りを進める。4年ぶりに再登板した原監督は巨人をどう立て直すか。オープン戦は2月23日に始まり、公式戦は3月29日、セ・パ同時に開幕する。キャンプの見どころや課題を紹介する。
広島 丸の穴、「新しい力」に期待
広島は2年連続MVPの丸が抜けた。人的補償で巨人から長野が加わったが、レギュラーは確約されていない。4連覇と悲願の日本一に挑む緒方監督は「いかに新しい力が出てくるかがポイント」として競争に期待する。新人はドラフト1位指名の小園(兵庫・報徳学園高)ら3人が1軍でスタート。若い力にも注目だ。
ヤクルト 「甘えなし」の徹底指導
ヤクルトは一昨年は最下位で、昨年は2位。今季は頂点を見据える小川監督は「甘えが出ないようにスタートから指導したい」。昨年同様に練習量が多く、厳しいキャンプを構える。躍進を支えた強力打線は健在。課題は投手陣。とくに先発の軸が不在だ。日本ハムから新加入の高梨や若手の底上げで競争力を高めたい。
巨人 FAで大型補強、若手台頭は
巨人は広島からFA加入した丸ら、積極的な補強で選手が大きく入れ替わった。2015年シーズン以来の復帰となる原監督は、「出てきてほしい選手はいる。若い選手がベテラン、キャリアを持った選手に戦いを挑んでいけるようなチームにしたい」。昨季ブレークした岡本に次ぐ若手の台頭が、常勝復活には欠かせない。
DeNA 目標80勝→90勝に格上げ
就任4年目のDeNA・ラミレス監督は、例年「80勝」としていた目標を「90勝」に上方修正した。過去3年は69、73、67勝で「毎年少し足りなかった。高いところに目標を置く」。昨秋のドラフト会議で入団した選手以外に、目立った補強はなし。現有戦力の一人ひとりがレベルアップを図るシンプルなキャンプになる。
中日 投手再建へ新監督挑む
中日はオフに目立った補強はなく、現有戦力の底上げをめざす。昨季12球団ワーストのチーム防御率4・36だった投手陣の再建は急務。投手出身の与田新監督の手腕に期待がかかる。笠原、松坂のほか、吉見や大野雄らの奮起が必要だ。注目のドラフト1位根尾(大阪桐蔭高)は右足のけがで2軍スタートとなる。
阪神 1軍に43人、競争を促す
阪神の矢野監督は1軍キャンプに例年より多い43人を選び、競争を促す。「全ポジションでの争いになってくると思う。楽しみで仕方がない」。昨季、2軍監督として見てきた投手の浜地、外野手の板山らを抜擢(ばってき)した。7年目の藤浪が先発ローテーションに食い込めるか、新4番候補のマルテが適応できるかにも注目。
西武 柱3人抜け「新時代」
昨季はリーグ優勝を果たした西武は、今季は「新時代」がスローガン。エース菊池、中軸の浅村、捕手の炭谷と「投・打・扇の要」の3本柱が抜けた。ただ、辻監督は「若い選手にはチャンス」。浅村が守った二塁の後継者が育つか。内外野をこなせる外崎、ドラフト3位の新人山野辺(三菱自動車岡崎)らの競争に注目。
ソフトバンク 主将廃止「全員で戦う」
3年連続日本一に挑むソフトバンクの工藤監督は今季から主将制をなくした。2015年の就任時から内川が主将を務めたが、「昨年はリーグ2位。選手一人一人に自覚を持ってもらい全員で戦う」。ドラフト以外で補強がないだけに底上げが不可欠。キャンプは主力のA組に大学と社会人の4新人を入れ、競争を促す。
日本ハム 3季ぶりVへ「驀進」
日本ハムの今季のスローガンは「驀進(ばくしん)」。どのような局面においても集中を保ち、3季ぶりのリーグ制覇と日本一を目指すという意味を込めた。オリックスから金子、台湾から好打者王柏融(ワンボーロン)らが加入。栗山監督は「やるしかない。目の前にある壁を突き破って進まなければいけないシーズン」と気持ちを高ぶらせる。
オリックス 先発陣の再編が急務
金子と西が抜け、先発投手陣をそろえるのがオリックスの急務。中継ぎからの転向を志願する3年目の山本のほか、ドラフト3位の荒西(ホンダ熊本)ら社会人出身の新人2投手を1軍に振り分けた。第2クールから紅白戦を予定しており、西村監督は「若手をどう伸ばすか。力がつけば面白くなる」と競争をあおる。
ロッテ 初日にいきなり紅白戦
ロッテは2月1日に紅白戦を行うなど徹底的な実戦重視で鍛え上げる。11日間でキャンプを打ち上げた後は、沖縄本島、宮崎などへ転戦し、練習試合に臨む。ドラフト1位新人の藤原(大阪桐蔭高)や前日本ハムのレアードの加入で競争も激化。就任2年目の井口監督は「レギュラーは白紙。実戦を通してチーム力を上げる」。
楽天 石井GM「まずは強い土台作り」
楽天の石井ゼネラルマネジャーは「まずはチームづくり。力強い土台をつくりたい」とキャンプの目標を立てた。西武から打力のある浅村が加入したが、チーム力はまだ心もとない。今季は内野を中心に、主力級でも複数の守備位置に挑戦させる方針。定位置争いの激化を通じて、選手層に厚みを持たせたいところだ。