安倍政権の「柱」がきしんでいる。
1月30日、自民党本部4階の赤じゅうたんの奥にある幹事長室。幹事長の二階俊博の前に、急きょ福岡から呼び出された県連幹部が並んだ。
県連は、4月の知事選で現職支持か新顔支持かで割れていた。現職は2011年、地元選出の実力者で副総理兼財務相の麻生太郎の強い後押しで当選を果たしたが、16年の衆院福岡6区補選で麻生の推す候補を応援しなかったことなどから関係が悪化。今回、麻生は新顔の支援に動いた。
一方、公明党や地元経済界は現職寄りで、二階が率いる二階派の議員らも現職を支持。党が実施した情勢調査では、現職優位の結果が出ていた。
両陣営が譲らず、候補者調整は難航した。「麻生のメンツ」(麻生周辺)か、「勝てる候補」か――。党幹部から「麻生さんも困ったものだ」との声が漏れる中、二階の本命は勝てる候補、つまり現職だった。
だが、この日の幹事長室で選挙対策委員長の甘利明が告げた裁定は「新顔推薦」。麻生に軍配を上げた。
裁定を聞く二階は笑みを浮かべるのみで、ほとんど言葉を発しなかった。
腹の中は違った。
統一地方選と参院選が重なる12年に一度の亥年である2019年。「1強」時代の次をうかがう政界の「底流」を、随時報告します。
麻生が首相の安倍晋三らに「推…