稲田伸夫検事総長は20日、遺体や犯行現場の写真など刺激の強い証拠について、「裁判所が必要性を認めない傾向にある」と指摘した。裁判所の姿勢に苦言を呈した形だ。検察トップが公の場で裁判所の訴訟指揮に言及するのは珍しい。
全国の地検検事正らが集まる会議で述べた。刺激の強い証拠をめぐっては、裁判員の精神的な負担を考慮するなどとして写真を白黒にしたり、イラストに変えたりする事例が相次いでいる。裁判員経験者からは「写真は耐えられない」との意見がある一方、「写真の方が被害者のことを考えることができた」との声もある。
稲田総長は、「そもそも刑事裁判は証拠によって認定されるものだ」と指摘。こうした証拠について、裁判員の負担の観点のほかに「被害者や遺族の心情も十分配慮しつつ、必要な場合には証拠が採用されるよう努力してほしい」と検事正らに訓示した。