原子力発電をめぐる経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)の発言が、波紋を広げている。「原発と原子力爆弾が頭の中で結びついている人に『違う』ということは難しい」というもので、原発の推進派、反対派の双方から疑問や反発の声が出ている。
「原子力を人類のために」経団連会長、原発再稼働を訴え
発言は14日に、停止中の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)を視察した際に出た。「原発の再稼働への理解が深まっていないようだが」との記者団からの問いかけに答えた。
発言について、御前崎市長の柳沢重夫氏は18日の定例記者会見で「地元住民は(原発と原爆の違いを)十分、分かっている。適切ではない」と述べた。柳沢氏は原発推進派だが、市内外には再稼働に反対する意見もある。
一方、原発全般の再稼働に反対する民間団体、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟の木村結事務局次長は「原発も原爆も危険なことには変わりはない。住民は勘違いしていない」と批判している。
中西氏は、浜岡を含めて原発の早期再稼働を進めたい立場から「エネルギーを考える国民的な議論」を呼びかけている。原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟は13日、経団連に公開討論会を申し入れ、経団連は18日に拒否。経団連は拒んだ理由を「現在、エネルギー政策の提言をまとめているため」としている。