毎月勤労統計について、2015年9月に中江元哉・元首相秘書官(現・財務省関税局長)と面会した姉崎猛・元厚生労働省統計情報部長が22日の衆院予算委員会で、面会時に調査手法の変更を促されたと答弁した。中江氏は姉崎氏との面会について改めて「思い出せない」と答弁した。
立憲民主党会派の小川淳也氏の質問に答えた。
姉崎氏は15年9月14日、首相官邸で中江氏と面会。「(中江氏から)コストよりもちゃんと実態を把握する観点から部分入れ替え(方式)もあるのでは、というコメントがあった」と述べた。面会は同日午後の「多分早めの時間だった」と答弁した。
厚労省が21日に衆院予算委員会理事会に提出した文書では、調査手法について議論する厚労省の有識者検討会の「中間的整理案」は面会があった9月14日午後2時1分時点では「総入れ替え方式が適当」と記述。しかし同日午後10時33分のファイルでは「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討する」と変更された。ただ厚労省は、姉崎氏による修正指示は「首相秘書官に説明に行く前にすでに行っていた。具体的な日時は9月11日の夜か14日の朝か分からない」としている。
この点についてただされた姉崎氏は答弁で、「(検討会の委員から)部分入れ替えの方式の方が有用だと意見が出た。断定的な結論をまとめてしまうのはリスキーだと考え、両方検討する整理にしようと私が決めた」と答えた。
一方、中江氏は15年3月に調査手法についての「問題意識」を厚労省に伝えたことについて、「問題意識を持ったのは私で、伝えたのも秘書官である私の個人としての考えだ。(安倍晋三)首相の指示ではない」と首相の関与を改めて否定した。