権利者の許可なくインターネットに上げられたと知りながら、漫画や写真、論文などをダウンロードすることを全面的に違法とする著作権法改正案をめぐり、文化庁が自民党に不正確な説明をしたと指摘する「検証レポート」が3日、公表された。法改正について議論した審議会で出た賛成意見を水増しして報告したなどと批判する内容で「立法過程における極めて重大な問題」だと非難している。
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レポートは明治大知的財産法政策研究所のホームページで公開された。検証したのは著作権法の専門家らで、個人名は明らかにされていない。自民党議員らに文化庁が配った説明資料を入手して分析したという。
レポートが問題視したのは、法改正の方向性をまとめた2月の文化審議会著作権分科会でどんな意見が出たのかを示すため、「慎重な意見」を三つ、「積極的な意見」を七つ載せた部分。議事録と照らし合わせると、法改正に「積極的」のうち「学者」の発言とした四つが、1人の発言を分割したものだったという。
法改正に賛同する委員の意見は「余すことなく」紹介しているのに「慎重な意見」を出した4人の意見は省略し紹介すらしていないとも主張。全体として「積極的な意見は少数派であるにもかかわらず、多数派であったような誤解を誘っている」と文化庁の説明の仕方を疑問視している。
文化庁の担当者は取材に、「賛否の数ではなく、意見の中身を分類するものだと考えており、発言者ごとではなく論点ごとに示した。1人の発言にたくさんのポイントがあったということだ。パブリックコメントでは反対意見が多く寄せられたことも説明しており、賛成を多く見せて数で押し切ろうという意図は全くない」と説明する。文化庁は党への説明資料で、事前の小委員会で委員8人が連名で慎重な検討を求めたことも付記はしていた。
自民党の文部科学部会などはこ…