政府は22日の閣議で、東大大学院法学政治学研究科教授の宇賀克也氏(63)を最高裁判事に任命することを決めた。発令は3月20日付の予定。前任で学者出身の岡部喜代子判事(69)の定年退官に伴う人事で、15人いる最高裁裁判官のうち、女性は9年ぶりに1人となる。
最高裁判事の任命は政府が閣議決定するが、慣例として、最高裁長官の意見を聞く。候補者は、出身が裁判官、弁護士、検察官の場合は最高裁長官が、行政官や学者の場合は内閣官房が選ぶという原則で運用されている。詳しい選考過程は公表されないが、出身分野ごとに人数がほぼ固定され、退官した判事の後任も同じ出身分野から選ばれる傾向がある。
初の女性判事は、細川内閣時代の1994年に就任した元労働省婦人少年局長の高橋久子氏。続いた横尾和子氏(2001年就任)、桜井龍子氏(08年就任)も官僚出身で、長く0~1人の時期が続いた。鳩山内閣時代の10年に岡部氏が任命され、初めて2人になった。
安倍内閣になってからは、13年に弁護士出身の鬼丸かおる氏も加わり、女性判事が3人に。桜井氏が退官して減ったものの、18年に弁護士の宮崎裕子氏が就任し、再び3人となった。だが、今年2月に鬼丸氏、3月に岡部氏が相次いで退官し、1人に戻ることになった。
桜井、岡部、鬼丸の3氏は、最高裁大法廷が15年、民法の夫婦同姓規定について判断した際、連名で「違憲」の反対意見を述べて注目された。他にも2人の男性判事が「違憲」だと判断したが、残り10人は「合憲」の立場を取って多数意見を構成した。(岡本玄)
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宇賀 克也氏(うが・かつや)東大卒、ハーバード大ロースクール客員教授などを経て、94年から現職。内閣官房情報保全諮問会議構成員や内閣府公文書管理委員会委員長も務める。63歳。