韓国大法院(最高裁)が三菱重工業に戦時中に働いた韓国人の元徴用工と元女子勤労挺身(ていしん)隊員に賠償を命じた判決をめぐり、原告代理人の弁護団・支援団体は4日、同社が協議に応じなかったとして、韓国国内資産の差し押さえ手続きを裁判所に申し立てるとの声明を出した。
韓国大法院は昨年11月、同社に元徴用工ら計10人に1人あたり8千万~1億5千万ウォン(約800万~1500万円)を支払うよう命じた。原告側は同社に判決履行をめぐる協議を求めてきたが、回答期限とした2月末までに応じなかったという。
差し押さえは同社が韓国で保有する特許権や商標権を想定しているという。実際に韓国の裁判所が差し押さえを認めれば、新日鉄住金に続いて2社目になる。
原告側は朝日新聞に「今週内にも手続きができるよう準備している」と話した。(ソウル=武田肇)
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三菱重工業は4日、原告代理人の弁護団・支援団体が、韓国内資産の差し押さえ手続きを裁判所に申し立てるとの声明を出したことについて、「そのような報道があることは認識しているが、日韓両国間とその国民の間の請求権に関する問題は、日韓請求権協定により『完全かつ最終的に解決』され、いかなる主張もできなくなったと理解している。政府とも連絡をとりつつ適切な対応をとっていきたい」とのコメントを出した。