佐賀市の残土置き場で2015年7月、山口県下関市の男女の遺体が見つかった事件で、殺人罪に問われた佐賀県神埼市の無職於保(おほ)照義被告(69)に対する裁判員裁判の判決が6日、佐賀地裁であった。吉井広幸裁判長は「犯行は残虐で執拗(しつよう)だが、死刑を選択することが真にやむを得ないとまでは言いがたい」として無期懲役(求刑死刑)を言い渡した。
判決によると、於保被告は14年8月15日午後3時~同6時15分、佐賀市久保泉町の残土置き場で、不動産会社などを経営していた韓国籍の羅時燦(らじさん)さん(当時76)と、羅さんの会社の元従業員で同行していた松代智恵さん(同48)の2人が乗った軽乗用車を、油圧ショベルを使って車ごと深さ約5メートルの穴に落とし、土砂をかぶせて窒息させるなどして殺害した。
於保被告は逮捕時から一貫して黙秘を続けた。判決では動機について、羅さんから借金の返済を再三迫られ、経営していた土木建設会社の不法投棄を告発すると言われたことなどから、「事業が継続できなくなる」と考えた、と指摘。一方で「動機の悪質さという点では、最も非難すべき事案とは言えない」とした。(上山崎雅泰)