刑務所や少年院にいる人向けという異色の求人誌が創刊されて1年になる。施設を出ても仕事がなく、再犯に至る悪循環を断ち切ろうと民間の会社がつくった。「絶対にやり直す」という覚悟のある受刑者と、過去を受け入れ応援する企業を結ぶ試みとして塀の内外で注目を集め、就労につながるケースも増えてきた。
求人誌は「Chance!!(チャンス)」。2018年冬号(A4判、45ページ)には建設や飲食などの分野の18社の求人広告が載り、2500部発行。各地の刑務所などの矯正施設計300カ所以上と受刑者約750人に郵送された。
企業それぞれの勤務地、待遇などのほか「半袖の状態で入れ墨が見えないこと」といった条件が記され、漢字はすべてルビつき。専用履歴書(4ページ)には起こした事件の背景、再犯しない決意や具体策、被害者にどう対応してきたかを書き込む欄がある。
発行元ヒューマン・コメディ(東京)の三宅晶子社長(48)は「受刑者と企業、双方の情報を事前にできるだけ多く伝えたい」と話す。
三宅さんは14年に情報通信会社を退職。「人と関わる仕事がしたい」と受刑者支援団体などでボランティアを始めた。その先の一つの自立援助ホームで知り合った17歳の少女からある日、手紙が届いた。人生の大半を施設で暮らした少女は、少年院に入っていた。「もっと深く関わりたい」と感じて身元引受人になり、少年院を出た少女と1年、一緒に暮らした。こうした経験から「少年院や刑務所を出た後、過去を隠さず働ける場所が必要だ」と痛感し、求人誌の創刊を思いついたという。
出所後の仕事の有無は、再犯に…