1万5897人が亡くなり、2533人は今も行方が分からない。東日本大震災から8年の朝。復興へ歩むまちを、雨がぬらした。家族、友人、恩人……。帰らぬ大切な人へ、祈りが捧げられた。
岩手県釜石市では、犠牲者を悼む「釜石祈りのパーク」が新しく造られ、11日午前に追悼行事が開かれた。997人の名前が刻まれた慰霊碑に遺族らが献花した。市内の死者・行方不明者は1千人以上に上る。鵜住居(うのすまい)地区にある祈りのパークは、津波で160人以上が犠牲になった「鵜住居地区防災センター」の跡地にできた。
宮城県石巻市雄勝地区でも、犠牲者を追悼する慰霊碑の除幕式があった。碑は市立雄勝病院の跡地に整備された慰霊公園内にある。
碑は犠牲者228人の名が彫られた台座の上に、合掌する手の形をイメージしたモニュメントがあり、高さは3・9メートル。海側に3本、山側に11本の柱が立ち、「3・11」を表している。母のりつ子さん(当時88)を失った松本雄一さん(68)は「何年経ってもがれきだらけになった町のことを思い出す。2番目の息子は家を建てたよ、幼稚園の孫も元気だよと報告したい」と話し、涙を拭った。
被災地では行方不明者の捜索も続く。午前11時、津波で被害を受け更地が広がる福島県浪江町の請戸地区の河川敷で、警察官ら約60人が捜索を始めた。県内の不明者は196人。ぬかるむ泥に足を取られながら、熊手で土を掘り返すなどして手がかりを捜した。
地区は東京電力福島第一原発から北に約7キロ。原発事故直後は放射線量が高く、1カ月近く、行方不明者の捜索ができなかった。吉田数博町長は「愛する家族を失ったご遺族の悲しみは癒えることはない」と話した。
■天井にあった手の跡、もしかし…