厚生労働省による毎月勤労統計の不正調査問題などを受け、日本統計学会は再発防止策を検討する委員会を近く立ち上げることを決めた。赤平昌文会長(筑波大名誉教授)が10日、都内であった同学会の春季集会で明らかにした。
赤平氏は公的統計をテーマにした特別セッションで、「今回の法令違反は公的統計の信頼性を根底から揺るがすものだ。再発防止の検討段階において、日本統計学会として専門的立場から協力していく」とあいさつした。今月中の委員会設置を目指しており、毎月勤労統計のほか、賃金構造基本統計の不正調査なども取り上げるという。
特別セッションでは、美添(よしぞえ)泰人・青山学院大名誉教授が講演し、厚労省が2018年1月から毎月勤労統計の中規模事業所調査を総入れ替え方式から部分入れ替え方式に変更したことについて、「断層(統計データの段差)の縮小に関しては大きな効果は期待できない」との見解を示した。
厚労省の特別監察委員会の追加報告書では、「部分入れ替え方式の採用は、ギャップ(段差)を少なくする措置で、統計学的にも十分な合理性が認められる」と評価している。(山本恭介)