3月29日に予定している英国の欧州連合(EU)離脱について、EU首脳が少なくとも1年以上の延期を検討していることが14日、わかった。長期の延長となれば、英国で離脱の是非を問う国民投票の再実施を求める声が高まり、離脱が取りやめになる可能性も出てくる。
EUのトゥスク首脳会議常任議長(大統領に相当)に近いEU関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。トゥスク氏は14日、ツイッターで「英国が離脱戦略を練り直したり、総意を得たりする必要があると考えるなら、(英を除く)27加盟国に長期の離脱延長を受け入れるよう求める」と述べた。このEU関係者によると、「長期の延長」とは「少なくとも1年以上」を意味しているという。
英国のEU離脱を巡っては、2018年11月、英政府とEUが、これまでと同じルールで貿易などができる1年9カ月の「移行期間」の設定などを定めた離脱協定案で合意した。だが、英議会は1月に続き、今月12日、協定案を大差で否決。発効に必要な承認が得られていない。
経済や社会に混乱をもたらす「合意なき離脱」を避けるため、英議会下院は13日、これを拒否する政府提出の動議を可決した。英政府は3カ月程度の延長を軸に検討しているとみられる。離脱の延長には全27カ国の同意が必要で、その是非や期間については英側の要請を受け、21、22日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議で議論される見通しだ。
ただ、英議会では、離脱の方法に関して多数派が存在していない状態で、短期間の延長では抜本的な解決にならないという見方がEU側には強い。ロイター通信によると、アイルランドのコベニー外相は「根本的に再考するための期間」として20年末までの21カ月間の延長の可能性について言及している。(ブリュッセル=津阪直樹)