英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、英政府とEUは11日夜(日本時間12日朝)、懸案となっていた北アイルランドの国境管理について新たな合意文書を作成した。協定案そのものは変更せず、法的拘束力のある別文書で内容を補う形にした。離脱協定案に反発する英議会の理解が得られるよう、双方が知恵を出し合った形だ。
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メイ首相は仏ストラスブールでEUのユンケル欧州委員長と会談後、会見で「議員が必要だと言っていた、協定案の法的な修正を確保した。改良された合意を支持する時が来た」と胸を張った。これまで協定案に反発してきた与党議員は一定の評価をしつつも態度を保留している。英メディアでは、協定案をめぐる12日の英議会採決で過半数の支持は依然厳しいが、大差で否決された1月の採決よりも善戦するとの見方が出ている。
英政府とEUは昨年11月、激変緩和のため1年9カ月の「移行期間」を設けることなどを定めた協定案で合意した。英議会で特に反発が強かったのが、英領北アイルランドの国境管理の問題だ。隣接するEU加盟国アイルランドとの間で開かれた国境を保つため、協定案は、通商協定などが結ばれるまで英国全体がEUの関税ルールに従い続け、さらに北アイルランドには特別にEUの規制も適用することを「非常措置」として定めている。これに、与党・保守党の強硬離脱派は「EUの属国になる」と反発。英国の一体性を重視する北アイルランドの地域政党・民主統一党も反対していた。
1月の否決後、英側は非常措置…