虎のお面、ピンク色のかつら、花柄の衣装――。ど派手な姿で東京・新宿を40年以上にわたり闊歩(かっぽ)してきた、人呼んで「新宿タイガー」。その生き様が同名のドキュメンタリー映画になり、22日から上映される。大都会を異形で生き続ける、その謎に迫っている。
主人公は原田吉郎さん(71)。長野県出身。朝日新聞新宿東ステーションに勤め、1975年から新宿かいわいを自転車で回る新聞配達員だ。神社の祭りで買ったという虎のお面を被り始め、「新宿タイガー」と呼ばれるようになった。
プライベートはおろか、勤務中も「虎」の姿で自転車をこぎ、配達先を回る。満員電車も映画館も喫茶店もお構いなく、その姿で入っていく。そんな「違和感」も、映画でたっぷり伝えている。
ただの「目立ちたがり」ではない。日に6本見ることもあるという無類の映画好きが高じ、交友する俳優は多数。夜な夜な新宿ゴールデン街でグラスを交わし、時に女優の悩みも聞く。「ビューティー・オブ・ビューティー。あなたは選ばれたんだ。何も悩む必要ないよ」と褒めちぎる姿は愛敬すら感じさせる。
親交が長いという俳優の八嶋智…