途上国から来日し、働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習生」の失踪が、あとを絶たない。一昨年は7千人が姿を消した。5年前に甲信越地方の縫製会社から逃げ出した30代のベトナム人女性が、失踪の理由とその後を語った。(五十嵐聖士郎)
女性がその縫製会社から失踪したのは、来日から半年が過ぎた2014年春のこと。果物畑が広がる土地に、約200平方メートルの平屋の建物が立っていた。
ベトナム人実習生5人と共に、シャツなどの服の仕立てを任されていた。日本人の従業員はいなかった。来日前はぬいぐるみを縫う仕事しかしておらず、襟やポケットの縫い付けは、ほかの実習生の作業をまねてミシンを動かした。
「あなた、仕事できない、遅い」。女性によると、社長からは何度も、簡単な日本語でこう言われた。仕事は夜遅くまで続き、棟続きの部屋の二段ベッドで寝起きした。「遊びない、休みない、仕事、仕事、ずっと」
社長から帰国するよう求められ…