タイで24日に行われた総選挙をめぐり、反軍事政権を掲げる各党が27日、共同で会見を開き、下院定数500のうち255議席を得て過半数を確保したと主張した。ただ、公式結果はまだ発表されておらず、反軍政派と親軍政派のどちらが過半数を握るか、攻防が激しさを増しそうだ。
反軍政グループには第1党が有力のタクシン派のタイ貢献党、第3党に躍進する見通しの新党・新未来党など7党が参加。貢献党の首相候補のスダラット元保健相は会見で「民主主義勢力が少なくとも255議席を得た。軍政の継承阻止を望む国民から、政権樹立の総意を得た」と述べた。新未来党のタナトーン党首は「首相は第1党から出すべきだ」とし、スダラット氏がふさわしいとした。
首相指名には軍政が事実上任命する上院の250人も加わるため、親軍政派は126議席を得ればプラユット暫定首相を続投させることができるが、タナトーン氏は「上院を使って少数政権を樹立しても対立を生むだけだ」と批判した。
一方の親軍政派も、下院でも過半数を確保しなければ政権運営が行き詰まるため、第2党をうかがう国民国家の力党が多数派工作を進めている。同党のウッタマ党首は27日、反軍政派を念頭に「最終発表がない限り、議席数は主張に過ぎない」と牽制(けんせい)。政界筋は「今後、親軍政側からの切り崩しもありうる」とみる。
選挙管理委員会は25日に小選挙区(350)の暫定結果を出したが、比例代表(150)は5月9日までに発表するとしている。(バンコク=貝瀬秋彦、乗京真知)