多くの手術で感染症を防ぐ第一選択として使われる抗菌薬「セファゾリン」が品薄になり、医療現場に影響が出始めている。国内シェア約6割を占める日医工(富山市)の供給が止まり、再開のめどがたっていないためだ。厚生労働省は3月29日、代替薬のリストを関係機関に周知したが、品薄は代替薬にも広がっている。
セファゾリンは、世界保健機関(WHO)が必要不可欠な医薬品に挙げる薬の一つ。日医工によると、昨年末からイタリアで製造する原薬に異物が混入したものが増えて製造できなくなり3月上旬に在庫がなくなったという。
日医工と取引のある関東の病院には、2月下旬に供給が止まりそうだという情報が流れた。同病院ではセファゾリンを月に3千本使用。感染症課の男性医師は「薬価も安く、なくてはならない薬だ」と話す。代わりに使う類似の抗菌薬も取り合いの状態でいつまで確保できるか不明だという。「代替薬で手術の手順も変わるなど、院内は混乱している。供給再開のめどもたたず、今後の計画が立てづらい」。抗菌薬の使用を抑えるよう現場に要請しているという。
医療現場への影響を抑えるため…