おむつ替えはママだけがするものなの? 結婚、妊娠したとたんに風景が変わった女性たちは、疑問を持ちました。「男は外で仕事。女は家で子育てと家事」という、旧来の「当たり前」に挑んでいます。
女性職員が降格希望、それでも女性登用を進めた元市長
男ばかりの農協会合→女性枠2割のパンチ力 家庭も変化
地域の会合に出るのも、町内会の役員も男性。「何かにつけ女は後ろという土地柄で、生きづらさを感じていました」。五十嵐乃里枝さん(56)は、福島県の豪雪地帯にある人口1600人の三島町で町議をしていた。
子育て中の女性の声を届けようと42歳で立候補し、当選。役場の職員は、男性町議が語気を強めると丁寧に対応するのに、五十嵐さんが町立保育所の改善を要望しても現場に伝えなかった。後押ししてくれた女性たちの思いを形にできず、無力感に駆られて2期で議会を去った。
幼い頃から母や祖母が父に意見する姿を見たことがない。留学し、東京の大学に進んだ。結婚を機に帰郷すると、「五十嵐家の嫁」の立場を離れた個人としては意見や役割を求められず、違和感を持った。一石を投じようと議員になったが壁は厚かった。
2011年の原発事故後、自然エネルギーの利用を目指す団体の代表理事に就任した。町の高齢化率は約53%だが、豊かな自然にひかれて移住する若者もいる。地縁、血縁に縛られない友人や同僚に希望を感じる。「男女の平等は、個人の尊重があってこそ。外からきた人とつながり、空気を変えたい」
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同じ思いを持つ人たちが結束し、見過ごされていた先入観に風穴を開けた例もある。
「全国のお母さんを応援します」。お尻ふきのパッケージに書かれた宣伝文に、大阪市の早川菜津美さん(30)は疑問を感じた。「おむつを替えるのは母親だけ?」。昨年5月のことだ。休職し、生後3カ月の娘の育児に奮闘中。夫は仕事で帰りが遅かった。
「当たり前」を解かそうとする人の中には男性たちも。「世の中、半々なんだから」
このお尻ふきを販売するベビー…