イランの最高指導者ハメネイ師は6日、同国でイラクのアブドルマハディ首相と会談し、イラクの駐留米軍を早期に撤退させるよう求めた。イランはイラクに天然ガスや電力を輸出するなど、近年は友好関係を保っている。発言により、イラクが過激派組織「イスラム国」(IS)掃討などで対米「バランス外交」をとることを牽制(けんせい)した格好だ。
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ハメネイ師の事務所によると、会談ではイラク側に「イラクは駐留米軍ができる限り早く撤退するための必要な行動をすべきだ」と要求した。「現在のイラクの政権は米国が望んだ状態でない。米国は(親イランの勢力を)排除するだろう」と語ったという。
イランは、米国が昨年8月以降に再開したイラン産原油などへの制裁を受け、通貨リアルの急落や物価高に苦しんでいる。また、AFP通信などは、イランの精鋭部隊・革命防衛隊がトランプ米政権から、テロ組織に指定される可能性を報じている。このため、イラクを取り込み、米制裁の抜け道として活用する考えもあるとみられる。
イラクはエネルギー不足から、イランの電力や天然ガスを輸入しており、イランとの対外関係を断つのは難しい。一方で、IS掃討などで米軍の支援を受けており、イランと米国の板挟みになっている。(テヘラン=杉崎慎弥)