関門海峡を結ぶ「下関北九州道路」事業をめぐり、塚田一郎・前国土交通副大臣が、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した問題で、石井啓一国交相は9日、衆院国交委員会で「前副大臣の発言により大変なご迷惑をおかけしたことは誠に遺憾であります。私としてもおわびを申し上げる」と述べ、陳謝した。
野党はこの日の同委理事会で参考人として塚田氏の出席を求めたが、与党側は「党に持ち帰る」として応じなかった。
同事業は今年度から事業化のための国直轄調査になった。塚田氏は北九州市で1日にあった集会で、自民党の吉田博美参院幹事長から「総理と副総理の地元事業なんだよ」と言われたとして、「国直轄の調査に引き上げた。私が忖度した」などと発言した。
石井氏は同委で、安倍首相の指示があったのではないかとの野党議員の質問に対し、「道路局に私から頭ごなしにやれといった指示は一切行っていない」と述べ、否定した。
また、吉田氏は9日朝、昨年12月に国交省副大臣室で塚田氏と面会した際のメモが公開されたことを受けて談話を発表した。「総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう。与党、公明党、野党で協力して進めていく」との自身の発言について、「候補地における誤解を生まぬように、という考えを表したものにすぎません」とし、「私が『下関北九州道路があくまでも地域経済等に必要な道路であり、これを幅広い賛同の中で進めていきたい』という趣旨で発言したことが、改めて裏付けられたものと考えております」とした。