政府が9日に発表した新しい1万円札の肖像画に実業家出身の渋沢栄一が採用されたことについて、10日付の韓国の新聞各紙は「日本の新紙幣の人物は経済侵奪の張本人」(ハンギョレ新聞)などと批判的に報じた。日本が朝鮮半島への影響力を強めていた時代に、現在の韓国電力の前身である電力会社の社長を渋沢が務めたことなどが、韓国の国民感情を刺激すると問題視している。
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主要紙「東亜日報」は、渋沢が日韓併合直前に日本の民間銀行が現地で流通させた紙幣の肖像になったことなども紹介。韓国の歴史観に照らして波紋が起きかねないとした上で「愛国心を強調する安倍晋三首相の政治哲学と合致する」との解釈を伝えた。
主要紙「中央日報」は渋沢が「日本資本主義の父」と呼ばれていると伝えたうえで、初代韓国統監だった伊藤博文と「親友」だったと強調。韓国では、かつて日本が千円札の肖像画に伊藤を採用していたことにも批判があった。(ソウル=武田肇)