桜田義孝五輪相は10日夜、東日本大震災で被災した岩手県出身の自民党衆院議員のパーティーであいさつし、議員の名前を挙げて「復興以上に大事」と発言した。いったんは記者団に発言を否定したが、被災地を軽視すると言える発言に批判が強まり、過去の失言をかばってきた安倍晋三首相が事実上、更迭した。
忖度(そんたく)発言で塚田一郎・前国土交通副大臣が辞任したばかり。相次ぐ発言をきっかけとした辞任は安倍政権にとって大きな打撃となる。後任には、桜田氏の前任の五輪相だった鈴木俊一氏(衆院岩手2区、当選9回、麻生派)を起用する。
桜田氏は午後6時半から始まったパーティーで問題発言をした後、記者団に対し、いったんは「言ったことありません。記憶にありません」と釈明した。しかし、発言に対する批判は強く、首相ら政権幹部が対応を協議。桜田氏は午後8時40分ごろに首相官邸に入って首相に辞表を提出した。
首相は辞表を受理した後、記者団に「任命責任は私にある。こうした事態にいたり、国民の皆様におわびを申し上げる」と述べた。桜田氏は「被災者のみなさんの気持ちを傷つけるような発言をしてしまって申し訳ない、撤回する。それだけでは十分でないと思いますので、辞表を出した」と話した。
発言は同日夜、東京都内であった高橋比奈子衆院議員(比例東北)のパーティーであった。桜田氏は来年の東京オリンピック・パラリンピック開催で多くの訪日客が訪れるとし「おもてなしの心を持って、復興に協力していただければ、ありがたい。そして、復興以上に大事なのは、高橋さんでございます」と語った。
二階派に所属する桜田氏は衆院千葉8区選出で当選7回。昨年10月の内閣改造で初入閣した。今年2月には、競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したことに「がっかりしている」などと発言して謝罪、撤回。改正サイバーセキュリティ基本法を担当しながら「従業員や秘書に指示してやってきたので、自分でパソコンを打つことはない」と発言するなど、失言が相次いでいた。
桜田義孝五輪相の自民党・高橋…