失言が相次いでいた桜田義孝五輪相が10日、辞任に追い込まれた。安倍晋三首相が最重視しているはずの震災からの復興以上に、衆院議員が大事と公言したことで、首相もかばいきれなくなった。「忖度(そんたく)」発言で国土交通副大臣を辞した塚田一郎参院議員に続く失態で、政権にとって大きなダメージとなった。
桜田氏は10日夜にあった高橋比奈子衆院議員の政治資金パーティーで「復興以上に大事なのは、高橋さんでございます」と発言。記者団に発言の真意を問い詰められても「記憶にありません」と繰り返した。発言を聞いた自民党幹部は首相官邸幹部にすぐに電話し、「辞めさせるべきだ」と進言した。
桜田氏は大臣就任以降、問題ある言動を重ね、野党から厳しい追及を受けてきた。
昨秋の臨時国会では、東京五輪・パラリンピックの基本的なコンセプトを知らず、東京五輪・パラリンピックの大会予算の国負担分「1500億円」を「1500円」と言い間違えるなどし、「事前通告がなかった」と野党に責任を転嫁。実際は通告を受けていたことが判明すると、陳謝に追い込まれた。
昨年11月の衆院内閣委員会では、サイバーセキュリティ基本法改正案が担当にもかかわらず、「自分でパソコンを打つことはない」と公表。今年2月には、競泳の池江璃花子選手の白血病公表について「がっかりしている」と発言。「五輪憲章」について問われ、「話には聞いているが読んでいない」と答弁したり、衆院予算委員会に遅刻したりもし、今月9日の参院内閣委員会でも、東日本大震災の被災地の宮城県石巻市を「いしまきし」と繰り返し言い間違えた。
度重なる失言に、夏の参院選へ…