自民党の吉田博美・参院幹事長(69)が23日の党役員連絡会で、夏の参院選に立候補せず議員を引退すると表明した。その後の記者会見では、脳腫瘍(しゅよう)が見つかり近く手術すると説明。「議員として政界に復帰することはない」と語った。
吉田氏は参院長野選挙区選出の当選3回。夏の参院選で改選を迎える。「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄・元参院議員会長の後継的存在として参院自民をまとめてきた。選挙区を後進に譲り、比例区での立候補を模索したが、この日の会見では「健康状態が厳しい状況で選挙運動は難しい」と話した。任期中は参院幹事長職は続けるという。
参院を取り仕切ってきた実力者の引退で、党内では政権運営への影響が懸念されている。二階俊博幹事長は記者会見で「体調のことだったので、これ以上引き留めることはできないと判断した。一層団結し、吉田さんの後をみんなで埋めていく」と話した。
昨秋の党総裁選で吉田氏の支援を受けた石破茂・元幹事長は取材に、「残念で仕方がない。官邸の絶大な信頼を受けながらも、総裁選で私をやってくれた。吉田さんじゃなければできなかった」と語った。(久永隆一)