天皇陛下が30日に退位することに伴い、午前中から皇居内で関連の儀式が始まった。午後5時からは宮殿で国事行為の「退位礼正殿(せいでん)の儀」に臨み、最後の「おことば」を述べる。退位特例法に基づき、5月1日午前0時に皇太子さまが新天皇に即位し、元号は平成から令和へと改められる。
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【特集】平成から「令和」へ
この日は午前10時ごろから、皇祖とされる天照大神(あまてらすおおみかみ)をまつる皇居内の賢所(かしこどころ)で「退位礼当日賢所大前の儀」があった。陛下が、退位礼を行うことを報告する儀式だ。
陛下は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれる天皇のみが身につける束帯姿で回廊を進み、内陣で「御告文(おつげぶみ)」を読み上げた。続いて、歴代天皇と皇族がまつられている皇霊殿、国中の神々がまつられている神殿でも同様の祭祀(さいし)を行った。新天皇となる皇太子さまも束帯姿で殿上で拝礼。皇嗣となる秋篠宮さまをはじめ9人の皇族方も次々に参拝した。
夕方の退位礼正殿の儀は宮殿・松の間で行われる。陛下は皇后さまとともに臨み、皇太子さま、新皇后となる雅子さま、秋篠宮ご夫妻ら成年の皇族方が儀式を見守る。衆参両院議長、最高裁長官、閣僚、地方代表ら約310人も参列し、安倍晋三首相が国民代表の辞を述べた後、陛下がおことばを述べる。儀式は約10分間の予定。
皇位は江戸後期以降、天皇の逝去に伴い受け継がれてきた。退位は1817年の光格天皇以来202年ぶり。退位後、「上皇」となる天皇陛下、「上皇后」となる皇后さまは一切の公務から退く。当面は現在の皇居のお住まいで生活し、準備が整い次第、東京都港区の仮住まい先に移る。最終的には、かつて暮らしていた赤坂御用地に引っ越す。
皇居では新天皇の即位に向けた準備も進む。即位関連儀式として、5月1日午前10時半から皇位のしるしとされる神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」、午前11時10分から新天皇が最初のおことばを述べる「即位後朝見の儀」がある。(島康彦、中田絢子)