王室の位置づけは国によって様々だ。時代とともに期待される役割の幅が広がり、政治との距離感もつねに問われる。王位を継承しながらの模索が続くのは日本だけではない。(パルマ〈スペイン〉=河原田慎一)
今月21日、復活祭のミサが開かれたスペイン・マジョルカ島パルマの大聖堂前。レオノール王女(13)が車から降り立つと、待ち受けた人々から「スペイン万歳」の歓声が上がった。
レオノール王女は国王フェリペ6世(51)の長女で、王位継承順位は1位。国王一家はマジョルカ島で復活祭のミサに参加するのが恒例で、王女は国王とともに、群衆に手を振って応えた。バルセロナから来たホセ・マルトゥさん(66)は「バルセロナでカタルーニャの独立運動を間近に見てきたが、王室が慕われる姿を見れば、独立は少数の間違った考えだと分かるはずだ」と力説した。
国王は、前国王フアン・カルロス1世(81)の退位を受け2014年に即位した。米国の大学で国際関係論を学び、バルセロナ五輪にヨット選手として出場。国民の人気は高い。即位後は、相次ぐスキャンダルで失った国民の信頼を取り戻すのが急務だった。
というのも、前国王が経済危機のさなかに豪華な「象狩りツアー」に参加したことが批判の的になり、また姉の夫が公金横領に問われ、王女である姉が法廷に立たされたからだ。
17年には、カタルーニャ州で独立の是非を問う住民投票があり、国は分裂の危機に陥った。住民投票2日後の10月3日。フェリペ6世はテレビで語りかけた。「国の一体性と国民主権が壊されかねない重大な事態を前に、国を信じて前に進もうと全国民に訴えることが、憲法と民主主義に基づく王である私の責任だ」
スペインの憲法56条は、国王…