標高3300メートルのチベット高原に16万年前、現生人類と共通の祖先を持つ未知の人類「デニソワ人」が暮らしていたことがわかった。現生人類より10万年以上早くチベット高原に到達しており、現生人類との交雑の結果、現代のチベット人に高地適応の遺伝子を残した可能性がある。ドイツや中国などのチームが1日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。
デニソワ人は2008年にロシア・シベリア南部の洞窟で女児の指の骨の化石が初めて見つかった。その後、遺伝的にネアンデルタール人に近く、アジアや南太平洋のメラネシア人に、デニソワ人由来のDNAが一部含まれていることが判明した。
今回、チベット高原の洞窟で1980年に見つかった下あごの右半分の骨の化石を調べた。独マックスプランク進化人類学研究所などが下あごの奥歯からたんぱく質を抽出した。DNAは採取できなかった。
その結果、現生人類がチベット高原に到達するよりも10万年以上さかのぼる16万年前のデニソワ人の骨だとわかった。デニソワ人はこれまでに酸素が薄い高地でも、酸素を運ぶヘモグロビンが増えすぎて血液がドロドロにならないようにする遺伝子を持っていることがわかっている。
現代のチベット人も同様の遺伝…