巻き貝の殻の巻き方を決める遺伝子を、中部大学総合工学研究所(愛知県春日井市)の黒田玲子特任教授(生物物理化学)のチームが突き止めた。通常は右巻きだが、その遺伝子が働かないと左巻きになった。人間では心臓が左にあるなど、体内構造のできかたの解明につながるという。
チームは、ほとんどが右巻きになる巻き貝の一種「ヨーロッパモノアラガイ」の遺伝子を研究。右巻きと左巻きとの違いを調べると、細胞の骨格形成に関わる遺伝子「Lsdia1」だけが違っていたという。
そこで、遺伝子を改変することができる技術「ゲノム編集」で、その遺伝子の働きを止めた。すると、その子どもの殻は左巻きになったという。左巻きが子孫に引き継がれていることも確認。さらに、受精卵が二つに分かれる際、この遺伝子によって右巻き左巻きで分裂の方向に違いが出ていたという。
黒田特任教授は「殻の右巻き左巻きは、体内構造によって決まる。人間の方が仕組みは複雑だが、根幹は同じ。体内構造がどうできていくのかといった再生医療などの分野の研究にもつながる」と話している。
この成果は、英国の専門誌に掲載された。論文は
http://dev.biologists.org/content/146/9/dev175976
で読むことができる。(木村俊介)