大津市の県道交差点で8日、車同士が接触し、散歩中に信号待ちしていた近くのレイモンド淡海(おうみ)保育園の園児ら16人が死傷した事故で、事故翌日から休園していた保育園が13日、再開した。幼い命が奪われた事故現場にはなお多くの人が訪れ、花を手向けている。
泣き叫ぶ園児、抱きしめた 湖畔の街の惨状「言葉ない」
園児死亡、住民が涙の献花 「おはようと、よく声を…」
保育が始まる午前7時すぎ。事故現場に設けられた献花台に道行く人が手を合わせる中、保護者に付き添われた園児たちが元気な姿をみせた。午前10時までに48人が登園したという。
保育園を運営する社会福祉法人「檸檬(れもん)会」(和歌山県紀の川市)によると、休園中も、散歩コースの安全の再点検や、園児や保護者、保育士の心のケアのためのカウンセリングをしてきた。この日、保護者からは「先生、大丈夫ですか?」「無理しないでください」「何でも協力します」と、職員を気遣う言葉をたくさんかけられたという。
同会は「園の中には子どもたちの声や笑顔があふれ、いつも通りの保育に向けて動き始めています。全国より励ましやあたたかいメッセージをいただき、通常保育再開の力となりました。職員一同、力を合わせて前に進んでいきます」とのコメントを発表した。
滋賀県は事故後、当面の安全確保のため、事故現場の交差点の歩道に、緩衝材となる黄色い円柱6個を設置した。交通量が多い道路を中心に、歩道の安全対策などを緊急点検する方針。
8日の事故では、右折しようとした乗用車と対向車線を直進してきた軽乗用車が接触し、軽乗用車が園児がいた歩道に乗り上げ、大津市の伊藤雅宮(がく)ちゃん(2)と原田優衣(ゆい)ちゃん(2)が死亡したほか、男児(2)が意識不明の重体。園児10人と引率していた保育士3人が重軽傷を負った。
滋賀県警は、右折しようとしていた車を運転していた新立(しんたて)文子容疑者(52)=同市=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで逮捕し、容疑を過失運転致死傷に切り替えて、事故の原因を詳しく調べている。(安藤仙一朗)