海上で警戒活動に当たっていた海上保安庁の巡視船内で昨年6月、複数の海上保安官が規則に反して酒を飲み、うち1人が別の海上保安官に暴行を加えていた。海保への取材でわかった。暴行した海上保安官は停職12カ月の懲戒処分を受け、依願退職したという。海保は被害者のプライバシーを理由に処分を公表していなかった。
海保によると、海上保安官たちが飲酒したのは勤務時間外の夜。レセプションや3日以上の航海で船長の許可があった場合を除き、巡視船内での飲酒は禁じられている。監督する立場の船長や、ともに飲酒していた複数の海上保安官は厳重注意処分にしたという。
人事院の指針では、停職処分の場合、業務時間外の行為でも原則として公表の対象にしている。海保は、事案の起きた海域や飲酒した人数、被害者のけがの有無など詳細を明らかにしていない。(贄川俊)
尖閣ビデオ流出では停職12カ月
海保の懲戒処分をめぐっては、今年4月、舞鶴海上保安部(京都府舞鶴市)の職員が商業施設のトイレで盗撮したとして停職3カ月になった。3月には呉海上保安部(広島県呉市)の職員が勤務中に職場を離れて倉庫に不法侵入したとして停職6カ月になった。
2010年12月には、沖縄・尖閣諸島沖で中国漁船が巡視船に衝突した映像を流出させたとして、国家公務員法の守秘義務違反容疑で書類送検された海上保安官=後に起訴猶予処分=が停職12カ月になった。