昨年4月に劇場を再開した御園座(名古屋市中区)が14日、2019年3月期決算を発表した。話題作の上演が続き、人件費も大幅に削減。赤字体質を脱し、当初見通しを上回る好業績となった。
「社長もスタッフの1人。何でもやる」。御園座の宮崎敏明社長は2017年の就任以降、営業や制作、雑務をこなし、弁当の空き箱も集める。人件費を抑えるのが狙いだ。
御園座は閉館前、人件費の負担がかさみ、慢性的な赤字が続いた。多い時で200人ほどの社員を抱えたが、リストラや採用抑制で今は23人になった。外部に委ねる業務を増やす一方、役員も雑務を分担。月2億円ほどかかっていた固定費(人件費含む)を数千万円までに減らした。
御園座の幹部は、SNSに書き込まれる劇場への評判や要望をこまめに拾い集めるようになった。舞台が見にくいと言われた1階最後部から3列の座席には、特注クッションを配備。ロビーには大きなキャリーバッグを収納できるロッカーも置いた。5月からは切符売り場を毎日営業するように改めた。いずれも客の要望を踏まえた改善策だ。
昨年度は公演も好調だった。こ…