昨年9月の胆振東部地震で震度7の揺れに見舞われた北海道厚真町。「全壊」の認定を受けて解体目前の住宅に、家主に代わって出入りしている「住人」がいると聞いて訪ねた。
同町上野、農業田口平作さん(82)、和子さん(78)夫妻は地震当日、苫小牧市内にいて難を逃れた。戻ってみると、家は傾き、玄関前には地割れが走り、家の中のものはすべて倒れていた。「座り込んでしまった。住める状態でなかった」(和子さん)。ボランティアが家財を運び出してくれ、少し片付いてきたころ、キツネが出入りしているのに気づいた。
避難生活の傍ら、収穫した野菜を売るためトラックに積んでいると、窓から顔を出した。娘の古城香さん(56)は「コンタ」と名付け、「入ったらだめっ」と声をかけると渋々外に出てきた。が、目を離すとまた家の中へ。「気に入ったんでしょうかね」。いつの間にか「コンタ」は2匹に増えていた。1匹は色が白っぽく、尻尾が細い。夫婦か親子かはわからない。ネズミなどを食べるのか、コンタたちに農作物を荒らされたことはないという。
解体が決まり、業者が出入りす…