鹿児島県の屋久島で、ニホンザルのユニークな調査が30周年を迎えた。ひと呼んで「ヤクザル調査隊」。毎年夏に学生らが生息分布を調べ、太古の自然が残る島での暮らしぶりを明らかにしてきた。きっかけは、伐採ですみかを追われたサルと人との争いだった。
九州本土の南端から約60キロ。亜熱帯の森林が広がる屋久島は、九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)がそびえる「洋上のアルプス」でもある。山頂付近の気候は青森に近く、日本列島をぎゅっと凝縮したような環境をもつ。
そこに生きるニホンザルの亜種ヤクシマザル(ヤクザル)の生息数に、研究者は魅せられてきた。
毎年夏、研究者とボランティア…