昨秋に発売された乳がん治療薬ベージニオ錠(一般名アベマシクリブ)を使った患者が間質性肺炎になり死亡した事例も報告されたとして、厚生労働省は17日、製造販売する日本イーライリリーに添付文書の改訂と医療関係者らへの注意喚起を指示した。
厚労省によると、ベージニオ錠は、一部のタイプの乳がんで手術ができなかったり再発したりした患者の治療薬として2018年11月に発売された。今年5月までに国内で14人が重症の間質性肺炎などを発症し、3人が死亡した。
このうち4人がベージニオ錠との因果関係を否定できず、うち1人が亡くなった。死亡したのは50代女性で、ベージニオ錠をのみ始めて37日目に自宅で間質性肺炎の症状が現れ、その7日後に亡くなった。
添付文書には間質性肺疾患が起こるとの記載はもともとある。しかし、発売から半年で国内で死亡例が出たことから、厚労省は「警告」欄などに間質性肺疾患の初期症状を確認することなどを加え、注意喚起を徹底するよう指示した。5月14日までの使用患者数は約2千人とみられる。(姫野直行)