デジタルデータソリューション社長 熊谷聖司さん(43)
パソコンの中に大切にしまってあった思い出の写真が、ぜ~んぶ消えちゃった。どうしよう。
仕事で収録していた有名タレントの動画が、まるまる再生できない。会社クビになるかも。やばい。
デジタル機器のメーカーに相談すると「原因不明です」「手の施しようがありません」と宣告される。
え~、そんな~。
一縷(いちる)の望みをかけ、この会社に電話で相談。「良ければいらして」と言われ、東京の銀座、大阪の梅田などにあるオフィスに行き、機器を託す。
神様、直りますように。
待合室で待つこと数十分。ほとんどの場合、大丈夫の診断が出る。費用は数万~30万円と少し高いが、思い出などには代えられない。
15年前に始めたこんなデータ復旧事業、今までにこなした案件は20万件超え、復旧率は95%超え。100社はある同業者を、量と質で圧倒する。
千葉県出身の心熱き元野球少年。でっかい仕事がしたくて土木の専門学校から建設会社に入るも、ITの世界にあこがれて2000年、この会社に入る。企業のコンサルタント事業を立ち上げると大成功、役員になる。
ところが。
パソコンにしまっていた顧客データ10万件が消えた。復旧しないと倒産かも。電話した業者は「80万円、イヤならいいんだよ」と高飛車。カッチーン。でも、頼むしかなかった。
〈ピンチにつけ込みやがって〉
怒りをバネに04年、復旧事業に参入する。世界中の技術を集め、学び、技術開発。「データ復旧の名医になる」の思いを部下4人と共有、またたくまに業界ナンバー1になった。
ところが、ところが。
14年、社長の多角化路線が行…