七輪から炎が立ち上った。店員が消火スプレーを使うが、消えない。その間に排気ダクトを伝い、天井に張り巡らされたよしずに燃え移った。「逃げろ!」。誰かの言葉を合図に、2階にいた40人近くが狭い階段に殺到した。
2017年4月28日、大型連休直前の金曜夜。群馬県渋川市の焼き肉店で火災が起き、10人が死傷した。業務上過失致死傷罪に問われた店主の小野晃人被告(40)=渋川市=に対し、前橋地裁(水上周裁判長)は10日、禁錮1年8カ月(求刑禁錮2年6カ月)の実刑判決を言い渡した。判決が「正に起こるべくして起きた」と断じた火災。公判では、惨事に至った背景が浮き彫りになった。
全焼した木造2階建ての焼き肉…