京都府向日(むこう)市のアパートの駐車場に成人女性の遺体を遺棄したとして、府警は12日、男2人を死体遺棄の疑いで逮捕し、発表した。2人は、同市地域福祉課の職員と職員が担当していた職業不詳の男で、ともに容疑を認めている。職業不詳の男は「遺体は交際中の女性。殴って死なせてしまった」と説明しているという。
向日町署によると、逮捕されたのは、向日市地域福祉課主査の余根田渉(よねだわたる)容疑者(29)=京都市西京区川島野田町=と、このアパート1階に住む職業不詳の橋本貴彦容疑者(55)=向日市上植野町薮ノ下。11日午前11時20分ごろ、死亡していた成人女性を駐車場に遺棄した疑いがある。
余根田容疑者は生活保護世帯との窓口になるケースワーカーで、昨年から受給を始めた橋本容疑者を担当していた。担当している101世帯のうちの1世帯だった。
捜査関係者によると、橋本容疑者と一緒に暮らす40代女性と連絡が取れなくなっている。遺体は死後1カ月ほどとみられ、司法解剖した結果、体に打撲の痕が数カ所確認された。死因は特定できず、身元の特定についても、今後DNA型鑑定をして進める。
家主側や府警によると、余根田容疑者は今月5日、「物置として使う」との名目で、このアパートの2階の一室を借りた。府警は、橋本容疑者から相談されて部屋を借り、室内の大型の業務用冷蔵庫に遺体を入れていたとみている。府警は12日、この部屋と橋本容疑者の部屋を家宅捜索し、冷蔵庫を押収した。
11日午前11時ごろ、近所の住民から「2階の部屋から異臭がする」と110番通報があり、駆けつけた署員が駐車場で遺体を発見。遺体の全身は粘着テープで何度も巻かれていた。橋本容疑者は余根田容疑者が所有する乗用車の運転席に乗って発進させようとしており、余根田容疑者も車のそばにいたという。
向日市市民サービス部によると、余根田容疑者は2012年4月に職員となり、15年7月からケースワーカーを務めていた。川本進・副部長は取材に「職員が逮捕されて驚いている。仕事熱心でまじめな性格で、トラブルは把握していない」と話した。
安田守市長は12日に会見を開き「職員が逮捕され、多大な心配をおかけしておりますことを心からおわび申し上げます」と頭を下げた。