丸みを帯びた愛らしい形と、漆で描かれた柔らかな表情が特徴の山口市の伝統工芸品「大内人形」が、3重の入れ子構造のマトリョーシカになった。
一番外側の人形は高さ7センチ、一番小さいのは4・5センチ。文化資源を地域振興に生かそうと、塗漆器の組合と山口県立大、山口市の産学官が連携して商品化した。
室町時代に山口地方を治めた守護大名の大内氏が、京都から漆塗りの職人を呼んで作らせたのが「大内塗」の始まりとされる。大正時代には漆器だけでなく人形も作られるようになり、夫婦円満を願う大内人形として広まった。
山口市内に五つある工房の職人が仕上げ、顔の表情や衣装の柄はそれぞれ異なる。男びな、女びなとも各3万3千円から。プロデュースした山口県立大の山口光教授は「約100年の伝統がある大内人形のように、3世代末永くという思いを込めました」と話していた。(金子和史)