73年前の終戦の年に潜水艦で沖縄へ向かい、海で散った父のことを知りたい。安間妙子さん(73)=愛知県田原市=は、幼少時に存在を知った遺書を読み返しながら、父の足跡を追い求めてきた。今年になって、ようやく父と親交があったとみられる人の存在を知り、山口県下関市に足を運んだ。だが――。
〈妙子ヘ オ父チャンハ、センソウニ ユク。ソウシテ リッパナ オテガラヲ タテテクル。〉
こんな書き出しの父・近藤誠一さんの遺書を安間さんが知ったのは、小学校入学の直前だった。母の寿恵子さんが父の形見の軍服をほどいてジャンパースカートを縫ってくれ、遺書を読み上げた。
〈ハヤク大キクナッテ、オ母サンニ孝行シナサイ。オ母サンニ、クロウヲ カケテハナリマセン。〉
普段は気丈な母が泣いた。つらそうな姿を見たくなくて、それ以後は遺書の話題を避けた。
父は神奈川県横須賀市の海軍に…