刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案をめぐる抗議活動で、香港の警察本部に集まっていた若者のデモ隊が22日未明、包囲を解いて撤収した。デモ隊は数万人に上るとみられたが、自主的に解散したため、警察との衝突は起きなかった。
香港デモ、日本人も無縁ではない 「中国化」に危機感
デモ隊は21日昼以降、デモに参加して拘束された学生らの釈放などを求めて警察本部前に集まり、道路を占拠。約16時間にわたって警察本部を包囲した。
警察は今回、過去のデモへの対処とは異なり、強制排除を行わなかった。デモ隊に対する強硬姿勢で、警察に対する市民の批判が高まっていることを考慮したとみられる。デモ隊の解散後、警察本部の庁舎の壁には「(学生らを)釈放しろ」などとする落書きのほか、大量の卵が投げつけられた跡が残っていた。
デモを受け、香港政府は21日夜、声明を出し、現在の立法会(議会)議員の任期が実質的に終わる来年7月、廃案になるとの見通しを改めて表明したが、「撤回」とは明言しなかった。(香港=益満雄一郎)