高島屋の村田善郎社長は9日、鳥取県米子市に無償譲渡した米子高島屋(同市)の東館について、サービス施設に生まれ変わり、11月に再スタートを切ると明らかにした。朝日新聞のインタビューで明らかにした。人口減などで地方の百貨店の閉店が相次ぐなか、地元市への譲渡という異例の形での再生が現実化する。
新たに生まれ変わる東館には、銭湯や漫画喫茶、フィットネス、子育てセンターなどが入る予定。村田社長は「本館と新施設とが一体となって、にぎわいをよみがえらせたい」と話した。
米子高島屋は本館が1964年に開業し、約30年後に東館が完成。両館ともに地上7階建てで、3階の通路で行き来できるようになっている。東館は2017年末に市に無償譲渡され、18年春から休業している。
米子高島屋の周辺では大型ショッピングセンターが16年に閉店するなど、米子市中心部の空洞化が加速。市にとっても中心部の活性化は課題だった。市は、東館の活用事業者を公募し地元企業に再譲渡した。
高島屋は、岐阜高島屋など、ほかの地方店も厳しい状況にあるが、村田社長は「まだまだやりようはある。知恵を出しながら、人を呼び込みたい」と話した。
一方、都市部の店では、玉川店(東京都世田谷区)と横浜店(横浜市)で、食料品売り場の改装を進めている。不振の婦人服に替わり、食品を強化するためだ。玉川店の改装中の売り場は今年9月にオープン、横浜店では21年春に国内最大級の5千平方メートルの売り場を完成させる。(佐藤亜季)