弁当箱の白米の上に浮かぶ顔。目はのり、鼻は梅干し、唇はたらこだ。箸袋には力強い字で「夏大まであと3日! 全員で臨めますように」。
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新潟市のピアノ教室講師、清水真知子さん(52)の日課は、食材で絵を描くなどする自作の弁当「キャラ弁」を画像共有SNS「インスタグラム」に投稿すること。弁当は、長男で新潟南高校野球部のエース、響介君(3年)の昼食だ。これまで約600食分のキャラ弁の写真を載せ、SNSのフォロワーは約4万6千人に上る。
響介君が入学した2017年に始めた。長女(23)はすでに大学に進み、子どもと同じ家で過ごせるのはあと3年。「少し恥ずかしがり屋な息子との思い出作りに」と考えた。
初めはネットで見られる他のキャラ弁をまねていたが、今は独自路線。中間テスト前に「中間」とのりで書いたり、節分の前に鬼とおたふくを模した、そぼろ弁当を作ったり。「シュールな感じで、笑顔になってもらいたい」という。
食の細い響介君の体づくりにも気をつかう。夏は試合の日にもさっと食べられる冷やしうどん、冬は温かいラーメン。好物の麺類を多めにした。この冬、響介君は体重が5キロ増え、春の練習試合では投球の自己最速を更新した。
「色んな具材が入っていて食べやすい。とても力になっている」と響介君。清水さんは「卒業すると遠くで見守ることになる。今しかできないから、私も頑張ります」(中村建太)