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「夢だった」双子のバッテリー 家ではずっと野球の話

第101回全国高校野球選手権千葉大会は11日、1回戦30試合が11球場であった。サヨナラ勝ち、九回裏に追いつき延長へ、終盤に逆転……。時折雨が降る中、白熱したドラマが繰り広げられた。昨夏の西千葉大会で準優勝した東京学館浦安など13チームがコールド勝ちした。12日は1、2回戦合わせて30試合が予定されている。


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成田西陵 双子の歩み最後まで 下村広晃捕手・広幸投手


あと一歩届かなかった。


九回裏1死一、二塁、4―4の同点の場面。


「ゆき、任せたぞ」


成田西陵の捕手下村広晃(ひろあき)君(3年)は雨の中、マウンドに上がった双子の弟広幸(ひろゆき)君(3年)の尻をたたいた。


5番打者に四球を与え満塁。6番打者をツーストライクまで追い込んだ。


「併殺を狙おう」。広晃君が出したサインは外角低めのスライダー。だが少し浮き、打球は中飛に。タッチアップだ――。返球はそれ、三塁走者が本塁を踏んだ。2人はしゃがみ込み、顔を地面に伏せた。


成田西陵は2017年の夏、部員は6人だった。助っ人を頼んで大会に臨んだが、初戦敗退。昨夏、部員は20人近くに増え、12年ぶりに初戦を突破した。バッテリーは、背番号1と2をつけた双子だった。


2人は中学から野球を始め、ともに外野の補欠。「バッテリーを組むのが夢だった」。高校に入って中西威史(たけし)監督に頼んだ。


ただ、経験不足ではじめは、配球やサインプレーもわからなかった。試合の度に監督の助言を受け、メモに取った。家ではプロや高校の試合を見て、学んだ。姉の広美さん(25)は笑う。「家ではずっと野球の話ばかりしていた」


そして、迎えた今夏。先発はエースの沢井大輔君(3年)。格上の千葉日大一を相手に、六回までリードを許さなかった。チームは9安打。広晃君は同点の七回表2死一、二塁で、チームを勢いづける勝ち越しの適時打を放った。


広晃君は3人の投手を好リードし、バックも無失策で援護した。右翼や二遊間に飛んだ打球に飛びつき、好捕する場面もあった。


広幸君が投げたのは10球。試合後、広幸君は「これで最後なんて悔しい」と言った。広晃君は「最後にゆきの球を受けられて良かった。でも、チームで勝ちたかった」と涙をぬぐった。=ZOZO(小木雄太)


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