(15日、高校野球新潟大会 糸魚川4―0新潟商)
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「こっからこっから!」「まず一点!」
イニングが変わるごとに、球場にとどろく声。劣勢でも「声の力」で常に「打てる雰囲気」を漂わせるのが新潟商の神髄だ。
春の大会でコールド負けを喫してから、チームは「声」で大きく変わった。「ベンチが静かで、逆転するイメージがつかめない」といった指摘が出て、独自の声出し練習(7人組を作って並び、順番に1~9の数字を叫んでいく)をメニューに組み込んだ。
ベンチからひときわ大きな声を出していたのは、屋敷響(3年)。昨秋、ひざの痛みでプレーができなくなった。監督に「やめさせてください」と頼んだが、チームの皆に「戻ってきてくれ」と声をかけられ、腹をくくった。以来、屋敷はブルペンキャッチャーや声かけの役割を担い続けてきた。
4点を追う四回裏、副将の浅野が中前安打を放ち、好機を作った。浅野は「屋敷のおかげで『ベンチから打たせる』野球ができている」と話す。
シード校相手に四回以外は無失点と善戦した。屋敷は「いいチームだった。こんな自分にも声をかけてくれて『ありがとう』と言ってくれた」。そう語りながら涙をぬぐった。(飯塚大和)