東京・目黒区で、5歳の女の子が「パパ、ママごめんなさい」というメモを残して死亡した虐待事件。3日から始まる母親の裁判を前に、親族が悲痛な思いを語りました。
香川県善通寺市。ここに5歳で亡くなった、船戸結愛ちゃんのお墓があります。
「もうおねがい、ゆるして、ゆるしてください、おねがいします」(船戸結愛ちゃん)
去年3月、東京・目黒区のアパートで、“両親に許しを請う”言葉を大学ノートに残し、結愛ちゃんは衰弱した状態で見つかりました。母親の船戸優里被告(27)と再婚相手で父親の雄大被告(34)は、結愛ちゃんに十分に食事を与えず死亡させた保護責任者遺棄致死などの罪で起訴されました。
3日からは優里被告の裁判が始まります。母と子の間に何があったのか。再婚する前、2人は香川県内に住んでいました。
実の父親の祖母、結愛ちゃんの曽祖母を先月、訪ねました。
「(結愛ちゃんは)とにかくよく笑って、歌を歌ったり、動物などいろいろ好きな子だった」(結愛ちゃんの曽祖母)
明るくやさしい子供だったという結愛ちゃん。母親の優里被告も、そんな結愛ちゃんをかわいがっていたといいます。しかしその後、優里被告は離婚。雄大被告と再婚した後、異変が起きました。
「『お母さんごめんなさい、お父さんごめんなさい』という泣き声やどなり声が聞こえていたり、浴槽だと思うんですけど、水に抵抗しているバシャバシャという音が聞こえてきた」(隣に住んでいた住民)
捜査関係者によりますと、結愛ちゃんは1日1食しか食事を与えられなかったこともあったといいます。部屋からは「べんきょうをする」「ふろをあらう」など、およそ20項目の生活のルールが書かれた紙がみつかりました。
結愛ちゃんと会わなくなってから、およそ3年。
「(テレビに)名前が結愛と出たので『お父さんあれ結愛と同じ名前やな』。元気に生活してお母さんと一緒に生活してと、それくらいしか思っていません。まさか、こんな事になっているとはね」(結愛ちゃんの曽祖母)
なぜ結愛ちゃんを救うことができなかったのか、曽祖母は、「優里被告に自ら語ってほしい」と考えています。
「何であそこまで結愛を、かわいかった結愛を、いじめ抜いて助けてあげられなかったのか。それが私も優里ちゃんに一番聞きたい。自分の幸せの方が大事だったのかな」(結愛ちゃんの曽祖母)
児童虐待防止法の改正にもつながった今回の事件。優里被告は起訴内容を認める見通しで、虐待の実態をどのように語るのかが注目されます。